魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第四章4.4
暖炉(だんろ)の明かりだけになった部屋の中、エドガーはひとり、ソファに身をうずめ、身じろぎもせずにいた。
能天気な軽口と笑顔で、リディアをからかっているときには見せたこともない、深刻な顔つきで考えていたのは、これからのことだ。
「エドガーさま、そろそろお休みになった方が」
そう言って、部屋へ入ってきたのはアーミンだった。
「おまえも座れよ。飲まないか?」
しかしアーミンは、突っ立ったまま、悩んだように口を開いた。
「あの、ひとつお聞きしたいことがあるのですが」
彼女がそんなふうにあらたまってする質問には、おおかた予想がついた。
「ああ、リディアのこと? あれからどうやって連れてきたか、聞きたい?」
哀しげに、彼女は眉(まゆ)をひそめた。
「そんな顔をするな。僕が平気で卑劣(ひれつ)なことをする男だって、わかっているだろう」
「……平気なはずありません。いつだってあなたは、苦しんでいらっしゃいました」
エドガーは、小さくため息をついた。
「心配するな、アーミン。リディアには何もしていない」
「本当ですか?」
「できなかったんだ。どうしたことか」
半分情けないような、そんな気持ちでエドガーは言ったが、アーミンは泣きそうな顔のまま、ほっとしたように力を抜いた。
「それではリディアさんは、わたしたちがだましていたことを知りながら、まだ協力してくださるのですか?」
「彼女には、泥棒の片棒をかつぐ気はないよ。本物の青騎士伯爵でなければ宝剣を得るのは不可能だと、現物を目の前に僕らを説き伏せるつもりでついてきているんだ」
エドガーは、頬杖(ほおづえ)をつきながら、自嘲(じちょう)気味に微笑(ほほえ)んだ。
「リディアはおもしろい娘(こ)だ。思い通りになりそうでならない。なのにとんでもなくお人好しで、裏表なんかこれっぽっちもなくて、思ったことだけが口に出る。そのうえ僕みたいな悪人でも、すがりついて懇願(こんがん)されれば見捨てられなかったりするらしい」
状況が想像できなかったのか、アーミンが首を傾げた。
「少しばかり昔話をしたよ。……不思議だけれど、彼女がどんな反応をするのか見てみたかったような気がする」
「……どんな反応を?」
「僕は脳ミソを取られたから少しおかしいとでも思ってるんじゃないかな」
思い出しながら、エドガーはくすくす笑った。
「でもね、彼女にとっては妖精の存在よりも信じがたいことを信じてくれた。彼女はうそが嫌いなんだそうだ。取り繕(つくろ)ったりごまかしたり、たぶんそういうのは、あの不思議な瞳で見抜くよ。でも僕にはうそしかない。偽りの名前、偽りの生、何もかもがうそ。僕にとっては、本気のうそと、そうじゃないうそがあるだけだ。そしてたぶん、本気のうそだけが僕の真実だって、彼女にも通じたんだろう」
青騎士伯爵を名乗ることは、切羽詰まった本気のうそ。それだけがエドガーの希望で、あきらめるくらいなら死ぬと言ったのも、本気のうそだ。
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