魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第五章5.2
「な、なんであたしが一緒に?」
「迷子になりそうだから」
レイヴンとアーミンは、すぐにそれぞれ、庭園の奥を調べに向かった。
エドガーがリディアから目を離そうとしないのは、ニコが立ち聞きしたことと関係があるのかもしれない。
宿(イン)でニコは、出かけると言って別行動をとった。
海辺の町から小妖精(ブラウニー)の一団を、船に乗せて島へ渡してやったのはニコの提案だったが、彼らが無事|親戚(しんせき)と会えたかどうか、確かめに行ったようだ。
ついでに、この島のメロウのこと、メロウが伯爵(はくしゃく)の宝剣を守るためにどんな役割を持っているのか、情報を集めてくると言っていた。
同じ島に棲(す)む妖精族だ。人の知らないメロウのことを、少しくらいは知っているのではないか。
小妖精族もこの島の住人なら、メロウと同様青騎士伯爵の領民として暮らしてきたはずなのだ。
地主の屋敷で妖精を助けたことで、意外な協力を得られるならありがたかった。
しかしニコは、リディアのこの仕事に乗り気なわけでは決してない。エドガーにはただならぬ敵意をいだいている。それは暖炉(だんろ)に放り込まれそうになったからではなく、しっぽの毛が焦(こ)げたことだけにつきる。妖精族というのは、えてして些細(ささい)なこだわりに忠実で根に持つものだ。
だからたぶん彼は、エドガーがひどい目にあうことを望んでいる。そのための情報収集なのだろう。
エドガーは、ニコがふつうの猫ではないとどの程度気づいているのか。猫がしゃべるとは信じていなくても、警戒心は持っているからこそ立ち聞きに腹を立てたのだろうし、当然リディアのことも警戒しているだろう。
それならいっそ、彼の思い通りにそばにいて、何を隠しているのか探ってやろうじゃない。
強気になろうとしながら、リディアは彼についていくことにした。
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