魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第五章5.5
「エドガーさまがリディアさんをほしがっているのは、本気です。あなたを思い通りにするために必要だとなれば、本気で愛してみせるでしょう」
彼の素性(すじょう)を知らないままなら、リディアはエドガーの見せるあまい夢にひたって、信じ切って、言いなりになっていたのだろうか。
「アーミン、わかってるわ。あたしが宝剣を手に入れるための道具だってことは」
「いいえリディアさん、あなたの知らないことはまだあります。もしかしたら、こうして敵の手におちた方が、あなたにとってはよかったのかもしれません」
彼女は深い悲しみに打ちひしがれたように目を伏せた。
「わたしは、エドガーさまに、冷酷(れいこく)な悪人にはなってほしくない……。本当は、やさしくて思いやりのある方なのに、わたしたちのために心を鬼にして、人をだましたり傷つけたりするのを、これ以上見ているのはつらいのです」
彼がリディアに隠していることがあると、ニコが言っていたのはこのことだろうか。
「エドガーは、あたしをどうするつもりなの?」
頭痛をこらえるように顔をしかめ、半身を起こしたアーミンは、思いつめた様子で、やがてまた口を開いた。
「青騎士|伯爵(はくしゃく)の宝剣に関する情報は、二種類あります。リディアさんにも見せた、妖精の詩が書かれた金貨は、模造品がいくつもあるらしく、この島に宝石をねらって何人も訪れたというのはそのせいでしょう。でももうひとつ、銀でできた鍵(かぎ)があるんです。それはたぶん、ひとつしかありません。そしてそれには、金と銀、ふたつそろってこそ意味があること、宝剣を手にするためには血が必要だというようなことが記されています」
「血?」
「人魚に捧(ささ)げる犠牲(ぎせい)、あるいは、誰かが犠牲にならないと宝剣が手に入らない仕掛だと、エドガーさまは考えています」
メロウは人の魂を、宝石のように集めたりもするという。青騎士伯爵の後継者(こうけいしゃ)に、宝剣を守る代償(だいしょう)として、人の魂を差し出すよう求めたというのは考えられる。
「じゃ……、あたしを犠牲にするつもりだったってこと?」
リディアは、震える両手でこぶしを強く握りしめた。
あの大うそつき、どういうことよ。と、胸がむかつくほど怒りがこみあげる。
それは信用なんてしてないけど、でも最初から、そんなことを考えていたのだとしたら悲しい。
彼の言葉の中に、これっぽっちも真実はなかったのだということになる。
ひどく落ちこんだ気持ちで、リディアは椅子に身を投げ出した。
「仕掛じゃないわ。メロウはいるはずよ。条件さえ満たせば宝剣を得られるなんて間違いだわ。本物の青騎士伯爵でないなら、誰にとっても死あるのみよ」
「だとしたら、エドガーさまにとっても、宝剣に手を出すのは危険なことです。ですからわたしは……」
「話してくれたのね、アーミン」
エドガーのことを、本気で好きなのね。そう思いながらリディアは、思いあまった決意に緊張感をにじませた、彼女の横顔を眺めやった。
「とにかく、私たちはここから出られないわけだし、人魚に会う機会はなさそうだよ」
カールトンは、リディアとアーミンの会話をどこまで理解しているのかわからないが、張りつめた空気をほどこうとしたのか、どこかとぼけたようにつぶやいた。
「でも、ゴッサムが宝剣についたスターサファイアをねらっています。あの男も、リディアさんの知恵が必要です。もちろんエドガーさまも、このまま引き下がるはずはありません。だから今のうちに、もうしあげておかなくてはならないと思いました。あなたに話したことで、エドガーさまを裏切ることになるとしても、宝剣をあきらめてくださるなら……」
そのとき、乱暴にドアが開いた。
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