魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第五章5.6
ゴッサム家の長男、ハスクリーが、大股(おおまた)で踏み込んでくると、リディアの前に立った。
「ミス・カールトン、さっそくでもうしわけないが、一緒に来てもらおう」
アーミンの予想はさっそく当たったようだ。
「いやよ。宝石を盗む協力なんてしないわ」
「いいや、どうあっても協力してもらう。もしもメロウの星を、あの男に横取りされるようなことがあったら、教授の身の安全は保証しない」
「……ちょっと、父さまを人質(ひとじち)にしようっていうの?」
「君が素直に言うことを聞いてくれれば問題はない」
リディアには、どうすることもできない。
「宝石さえ手に入れば、あたしたちを解放してくれるのね?」
「約束しよう」
「リディア……、私のことは気にするな」
「大丈夫よ、父さま。きっと戻ってくるわ」
父娘の抱擁(ほうよう)も許されないまま、リディアはハスクリーに連れ出された。
リディアについてきたのは、ハスクリーと、その弟が三人だった。他の兄弟は、カールトンとアーミンの見張りに残ったのか。エドガーたちを探してもいるのかもしれない。
けれど、ハスクリーたちにエドガーを探す必要はないとリディアは思う。
彼がどこに現れるか、彼女は知っている。
建物の南側、庭園に沿った場所を目指して歩く。目印はまるい採光(さいこう)窓。そこからは、さっきエドガーと見つけたフェアリーリングが、芝生(しばふ)の丘の上に見えるはずだ。
「おい、本当にこちらでいいのか?」
ハスクリーは、リディアが逃げないよう腕をつかんだまま、もう片方の手にピストルを握りしめていた。エドガーとレイヴンの襲撃(しゅうげき)を警戒しているのだろう。
「だまってついてきたら? どうせ、あなたたちにはわからないんでしょう」
「生意気な小娘だな。俺たちをあざむこうとしてみろ、ただじゃすまないからな」
「わかってるわよ」
やっぱり、こちらの方がエドガーよりずっとわかりやすい。リディアをいい気分にさせておいて、殺すことを考えるような回りくどさはない。
どうせ利用するだけなら、最初から悪人|面(づら)して、脅(おど)して怖がらせて言いなりにすればよかったじゃないの。
そうしたらリディアは、こんなに傷つかずにすんだのにと思う。
……傷ついているのだろうか。
信用していないと言いながら、泥棒の片棒をかつぐつもりはないと思いながら、彼がリディアの、フェアリードクターという役目を理解してくれているように感じるのがうれしかった。
だから、メロウの剣を得るのは無理だと説得できるような気もしていた。
目的も違うし、仲間にはなりようもないけれど、エドガーのことを憎めないとリディアが思う、同じ感情をいだいてくれているかもしれないと期待していた。
でもそれは、リディアの幻想だ。
つきあたりのドアを開けると、吹き抜けのホールになっていた。階段が交差する奇妙な空間だ。その片隅に、採光窓から光が射し込んでいる。
外壁に扉が描かれていたあの場所だ。
ハスクリーが警戒するように、リディアを引き寄せる。
窓がひとつしかなく薄暗いホールは、階段や柱の陰に何かが潜(ひそ)んでいそうにも思える。
「おい、おまえら、奥を調べろ」
弟たちに彼は命じた。が、後ろについてきているはずの彼らの、気配(けはい)も返事もない。
はっと振り返ったハスクリーの目に映ったのは、三人ともが床に倒れ伏している姿だった。
と同時に、リディアはすぐそばで空気が動くのを感じた。ハスクリーがはね飛ばされる。
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