魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第六章6.7
錆(さび)ひとつなく、たった今鍛えられたかのように鋭く光る諸刃(もろは)の剣。青い宝石がひとつ埋(う)め込まれている。
リディアは柄(つか)を握りしめ、エドガーに向き直った。
「動かないで」
深刻なリディアの様子を、神妙な顔で彼は見つめる。
「……知ってるのよ。この剣とひきかえに、メロウに人の魂をわたさなきゃならないのは」
エドガーは驚くでもなく、淋しげに微笑(ほほえ)んだ。
「そう。どうやら僕の負けだね。きみの好きにすればいい」
あっさり引き下がられると、リディアは戸惑いを感じた。彼を切りつけるにはこの場の勢いに乗るしかなかった。宝剣を奪おうと襲(おそ)いかかってくれないなら、とてもこんなものを振り回せない。
「レイヴン、手出しはするな」
そのうえ、隙をねらってじりじり動こうとしていたレイヴンを止めてしまう。
しかし彼は、リディアの迷いを承知の上だ。
剣など扱ったこともなければ、人を傷つけるのも怖いと思う彼女の心理を見抜いている。
だからこそ、しおらしい態度なのだと思っても、リディアはなかなか動けなかった。
せっつくように、ニコがそでを引っぱる。
「迷うな、リディア。やらなきゃやられるぞ。それとも奴と一緒に、そろってメロウの餌食(えじき)になるつもりか?」
ニコの言うとおりだ。
『 メロウの星は星とひきかえに。さもなくば、メロウは悲しみの歌を唄う』
この場でメロウに約束のものを差し出さなければ、メロウは歌を唄う。それは、この場にいる全員が、海底に引きこまれるということだ。
ゆっくりと、エドガーがこちらへ歩み寄ろうとした。
「動かないでって言ってるでしょ!」
「近寄らなきゃ切れないよ」
「そうだ、そいつはリディア、あんたのことを殺すつもりだったんだぞ!」
エドガーは、かまわず至近距離まで近づいてきた。
「本当にあたしを殺すつもりだったの?」
「怖いの? 震(ふる)えてるよ」
「そんなことしないって言ったのはうそ? あなたは父を助けてくれるって言ったわ。それもうそ?」
「うそじゃないよ」
この大うそつき。そう思いながらも、リディアは迷い続ける。
「教えて、あなたの言葉の中に、本当のことはあるの?」
「そんなこと知ってどうするの」
「だって今まで、あたしのこと守ってくれたでしょ。あれがぜんぶうそだって、思いたくないのよ。アーミンを失って、あたしはあなたたちの苦しみを、ほんの少しかもしれないけど共有したつもりよ。だから父を助けたいあたしの気持ちも、あなたがわかってくれたんじゃないかと思いたくて……」
それこそ、今知ったところでどうにもならない。
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