魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第六章6.8
エドガーは、不愉快(ふゆかい)なのか不可解なのか、眉(まゆ)をひそめた。
「なぜ迷うんだ? きみを殺そうとした男なんて、死んで当然じゃないのか。僕を切ったって、誰もきみをとがめないよ」
「リディア、あーもう、何やってるんだよ!」
ニコがあせる。
「……どうすればいいのよ!」
たぶんリディアには、どうしてもエドガーに剣を向けることができないのだ。
じっとこちらを見ていたエドガーが、あきれたようにくすりと笑った。
「僕みたいな極悪人でも、切りつけるのは怖い? なら、こうすればいいんだよ」
ぐいとリディアをつかまえる。あっという間に剣をもぎ取られる。
目を細めて宝剣を眺めた彼は、なぜだか悲しげに見えた。
「お人好しすぎるよ、リディア。世の中には、どこまでも冷酷(れいこく)な悪人がいるというのに」
ゆるりと剣を動かす。リディアは硬直したまま動けなかった。
しかしエドガーは、不意に剣の向きを変えた。刀身を自分の手のひらに押しつける。
そのまま引く。
「え……」
手のひらから血があふれ、刀身を濡らした。そしてこぼれ、床にぽたりと落ちる。
呆然(ぼうぜん)とするリディアの目の前で、彼はたよりなげに微笑んだ。
「どうしてなんだろう。きみには、うまくうそがつけないな」
それから、もうひとり、呆然としている少年の方を見た。
「レイヴン、すまない」
「エドガーさま……!」
激しい波の音が、地鳴りのように近づいてくるのを感じていた。と、岩間の水たまりから、急に水があふれ出す。
見る間に激しい波になって、こちらに襲いかかる。
この空洞(くうどう)を一気に水で満たすほどの勢いに、リディアは思わず目を閉じた。
しかし水にのまれる感覚は訪れず、ただ波の音だけが押し寄せ、そして去る。
目をあけたとき、巨大な波はどこにもなく、水たまりはただの水たまりで、そしてリディアの足元には、宝剣が落ちていた。
エドガーの姿だけがない。
メロウがゆっくりと、こちらへ近づいてきた。
剣を拾い、そして差し出す。
「剣によって傷つかなかった方。どうぞこれを」
「……それでいいの? あなたたちはこれを、伯爵(はくしゃく)家の後継者(こうけいしゃ)のために守ってきたんでしょう?」
「伯爵は亡くなりました。ずっと昔、わたしたちも助けることのできない遠い海で」
「伯爵家の血筋が途絶(とだ)えたってことなの?」
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