魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第六章6.7
発光しているのは、そのあたりの岩だ。薄い苔(こけ)のようなもので覆われ、それが淡い光を発している。
岩に囲まれた水たまりが、天井から落ちてくる水滴(すいてき)に波立ち、反射した光をゆらす。青白い光が漂うそのあたりだけ、海の底のように見えた。
そこに立ちあがった人影は、ひとりの少女だった。青白い光だけをまとった少女の髪は、身体を覆いなお引きずるほど長い。
「メロウ……」
リディアのつぶやきを聞きとめたエドガーは、不思議そうに振り向いた。
「メロウ? 足があるけど」
「人の姿になるくらいわけないわ」
「しかし、僕にも見えるし、人間の少女にしか見えない」
「わざわざ見えやすいようにしてるのよ。それに、人間がこんなところで、たった今まで閉じこめられてたっていうの?」
エドガーはまわりを見回し、抜け道らしきものもない空間だと確認する。
「無理があるな」
「少なくともここには、あなたの考えているような機械的な仕掛はなさそうよ」
「だからあきらめろとでも? メロウに、青騎士|卿(きょう)の子孫が本物かどうか、見分けられるとは思えないけどね」
そうだろう。この場に現れた人物が、伯爵家の血を引いているかどうかなんて、いくらメロウでも知りようがない。だからこそ何か、伯爵の資格を判断する条件があるはずだった。
おそらくそれは、青騎士伯爵とメロウがかわした取り引きの中にある。だとしたら、妖精に関する知識があり詩の謎を解いた者、入り口の鍵を持っていた者、「星は星とひきかえに」という意味を理解した者を、後継者と見なすということではないか。
そういう意味ではエドガーの考えるとおり、条件を満たせば宝剣を得られる。仕掛があるのと同じことだったのだ。
「ようこそいらっしゃいました」
メロウが言った。
「さて、どなたにお渡しすればよろしいのです?」
「どこにある」
エドガーが訊(き)いた。
「見えませんか?」
リディアは目を細めた。
光がゆれてちらつく。
宝剣はどこに?
ぼんやりと、岩陰に青白い像が浮かんでいた。
エドガーも気づく。彼の方が先に動いた。
「リディア、影だ」
しかし、ニコの声にはっとする。
あれは、宝剣にあたって反射した光の像だ。剣の影にすぎない。なら本体は。
リディアは走った。エドガーとは反対方向に。
水たまりの縁(ふち)にひざをつき、水中に腕を突っ込む。
乱反射した光が、岩陰に浮かんだ剣の像をかき消した。
「……何?」
エドガーが振り返ったときには、リディアは水の中から銀色に輝く刀身(とうしん)を引き抜いていた。
青騎士卿の宝剣だ。
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