《伯爵与妖精》卷二:小心甜蜜的陷阱第一章1.5
戸口から、静かにレイヴンが入ってくるのが見えた。
「リディアさんにお薬を。頭痛がするとのことでしたので」
「本当かい、リディア。怖い思いをしたせいだね」
さらに覗(のぞ)き込むように近づくものだから、リディアはソファの上で身体をずらす。
親密な距離をつくり出すことに、少しもためらいがない彼は、自分の容貌(ようぼう)や言葉や仕草が、相手にとって不愉快(ふゆかい)ではないはずだと知っているのだからタチが悪い。
変わり者と疎外されてきたために、男性に接近されることに慣れていないリディアにとって、不愉快でないことが居心地悪いのだが、かまわず彼はリディアの額(ひたい)に手をあてた。
「熱はないようだけど」
「……血を見たせいなの、もう大丈夫よ!」
レイヴンの方に、エドガーの注意が向けられる。そのおかげで、リディアからはようやく少し離れてくれた。
「血? 殺したのか?」
「はい」
レイヴンはいつも、ほとんど表情を変えない。エドガーにはどこまでも忠実で、言いわけひとつせず淡々(たんたん)と質問に答えるだけだ。
「何人?」
「ひとりと四匹です」
「四匹?」
「犬を使っていました」
考えるように少し黙り、エドガーはまたレイヴンに言う。
「わかった。もういいよ」
頷(うなず)き、レイヴンは薬の入ったグラスと、もうひとつブリキのかたまりをテーブルに置いた。
「リディアさんの落とし物を、拾っておきましたので」
リディアが犬に投げつけた、缶詰だった。
いびつにへこんだそれを、エドガーが不思議そうに持ちあげる。
「魚の缶詰?」
「いえ、武器でしょう、おそらく」
レイヴンが冗談を言うとは思えないから、リディアがいつも投げつけるために缶詰を持ち歩いているとでも思っていそうだ。
なんだか情けなくなりながら、ずっと猫のふりでクッションに身をうずめているニコをにらみつけた。
我関せずと、ニコはあくびをする。
「ふうん、どうやって使うのかな?」
レイヴンを見送ってから、エドガーはからかうように言った。
「試してみたい?」
リディアはヤケクソになるしかない。
「いや、遠慮しておくよ」
にっこり笑って、彼は向かい合わせのソファに腰かけた。
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