《伯爵与妖精》卷二:小心甜蜜的陷阱第一章1.6
恥ずかしくないのかしらと思うようなせりふを、堂々と聞かせてしまうのが彼の特技だが、本音じゃない。わかっていても、少しでも気を許せば、心に忍び込んでくるかのようでリディアは困惑させられる。
「レディとして扱うのは、きみを使用人のひとりとして雇ってるわけじゃないからだ。この伯爵家の一員として、なくてはならない存在だからだよ」
いつになくまじめな顔つきで、リディアの座っているソファの背もたれに手を置く。
「伯爵の立場はきみがくれたものだから、これは僕だけのものじゃなく、きみがいてこそなんだと思ってる。フェアリードクターとしてのきみは、貴重なパートナーなんだ」
「あたしは裏方がいいわ。着飾って、あなたの付属品になんかなりたくないもの」
「宝石は、人の目を惹(ひ)きつけてこそ価値がある。若く美しいフェアリードクターを裏方にしておくなんて宝の持ち腐れだね」
若い小娘だということは事実だが、美しいかどうかは主観的な問題だ。彼女は身内以外にほめられたことなどないし、自分が魅力的だとも思わない。外見も性格もキツイとしばしば言われてきた。
エドガーは例外だが、どうせ誰彼かまわずほめまくっているに違いない。
そう思ったら、なんだかむかついた。
「だから、何のために? あなたを目立たせるためでしょう」
「そうじゃない。つまり……、いつでもそばにいてほしいと言っているんだよ」
少し戸惑ったような、遠慮がちな口調に、切ない気持ちを秘めた告白かと思ってしまいそうだった。
リディアは必死で、冷静になろうと胸の動悸(どうき)を静める。
エドガーは、信用してはいけない人。根から悪い人ではないけれど、必要なら悪人にもなれる人だ。
リディアの能力が伯爵家に必要なら、どんな手を使っても逃がすまいと思っているだけ。
「……そんなに、あたしを監視しておきたいの? あなたがアメリカで処刑されたはずの犯罪者だってこと、知ってるのはレイヴンのほかにはあたしだけだからなのね? 誰にも言うつもりなんかないから、安心して。あなたを伯爵と認めた妖精たちのためにも、フェアリードクターとして手伝えることはするわ。だからあたしをおだてたり、口説(くど)くふりなんてする必要ないのよ」
目を伏せたエドガーは、ふと落ちこんだように見えた。
どうして? 心外だったから?
心外なはずないじゃない、と思うのに、リディアは罪悪感を覚える。リディアをパートナーだと言った言葉にうそがないのなら、疑って否定した自分は、彼を傷つけたのだろうか。
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