您现在的位置:首页 > 双语阅读 > 小说与诗集 > 伯爵与妖精 > 正文

《伯爵与妖精》卷二第三章牛奶糖与橘子3.2

时间:2011-10-20 13:31:50  来源:可可日语  作者:ookami

 内心どうしようもなくうろたえているのに、動けないのは、獅子(しし)に出くわした野ネズミの心境だろうか。
 怖いけれど、金色の毛並みをした優雅な獅子に触れてみたいような。もしかしたらその美しい牙にさえ、と、薄く笑みをたたえた唇(くちびる)に見入る。
 え? な、なによそれ! ああもう、シャンペン一杯で酔っぱらったのかしら。
 ネズミの気分でいっぱいになったリディアの頭の中には、ロマンチックのかけらもなかったが、やわらかく肩を抱きよせられる。
「いつも思ってたんだけど、きみはカモミールの香りがするね。あのビスケットと同じだ」
 どうしよう、と思ったそのとき。
「あ、花火!」
 音とともに、光の花が空に開いた。
 一瞬にしてリディアは、はじめて見る花火に目を奪われた。
「うわ、すごいわ! きれい……」
 たった今自分の中を占領していた妙な気分など吹き飛ぶ。空を見あげ、花火に見入ったリディアに、エドガーは笑い出した。
 \
 何がおかしいのか、おもいきり笑う。
「な、なによ。だって本当にすごいんだもの。あ、またあがったわ」
「いや、きみが、せまっている僕よりも、花火に心を奪われたようだから」
 ちょっと自信なくすな、とやっぱり笑いながら言ったエドガーは、意外と上機嫌に見えた。
 シャンペンを飲みほし、レイヴンにも勧める。もちろん彼は、かたくなに辞退する。
 ふざけてからむエドガーをかわしながら、一艘(いっそう)、するりと近づいてくる船影に、最初に視線を向けたのはレイヴンだ。
 何であろうと主人に近づくものには警戒(けいかい)を向ける鋭い視線だったが、ボートの上にあったのは、上流階級らしく着飾った少女の姿だった。
「まあ、伯爵じゃありません? 奇遇ですわね」
 くるくる巻いたオレンジ色の髪。ビスクドールみたいに白い肌、瞳の大きな美少女だった。
「これは、レディ·ロザリー·ウォルポール。ご機嫌いかがですか?」
 ウォルポール? もしかして、男爵(だんしゃく)家の血縁なのだろうか。
 そういえば、男爵令嬢はひとつ年上の従姉(いとこ)と叔父(おじ)と暮らしていたという。
 少女のそばには、三十すぎくらいの男性がいた。身なりにお金をかけているのがわかる、なかなかのハンサムだ。彼女が紹介するには叔父だということで、グレアム·パーセルと名乗った。

上一页 [1] [2] [3] [4] [5] [6] 下一页

相关阅读

无觅相关文章插件,快速提升流量