《伯爵与妖精》卷二第三章牛奶糖与橘子3.2
内心どうしようもなくうろたえているのに、動けないのは、獅子(しし)に出くわした野ネズミの心境だろうか。
怖いけれど、金色の毛並みをした優雅な獅子に触れてみたいような。もしかしたらその美しい牙にさえ、と、薄く笑みをたたえた唇(くちびる)に見入る。
え? な、なによそれ! ああもう、シャンペン一杯で酔っぱらったのかしら。
ネズミの気分でいっぱいになったリディアの頭の中には、ロマンチックのかけらもなかったが、やわらかく肩を抱きよせられる。
「いつも思ってたんだけど、きみはカモミールの香りがするね。あのビスケットと同じだ」
どうしよう、と思ったそのとき。
「あ、花火!」
音とともに、光の花が空に開いた。
一瞬にしてリディアは、はじめて見る花火に目を奪われた。
「うわ、すごいわ! きれい……」
たった今自分の中を占領していた妙な気分など吹き飛ぶ。空を見あげ、花火に見入ったリディアに、エドガーは笑い出した。
何がおかしいのか、おもいきり笑う。
「な、なによ。だって本当にすごいんだもの。あ、またあがったわ」
「いや、きみが、せまっている僕よりも、花火に心を奪われたようだから」
ちょっと自信なくすな、とやっぱり笑いながら言ったエドガーは、意外と上機嫌に見えた。
シャンペンを飲みほし、レイヴンにも勧める。もちろん彼は、かたくなに辞退する。
ふざけてからむエドガーをかわしながら、一艘(いっそう)、するりと近づいてくる船影に、最初に視線を向けたのはレイヴンだ。
何であろうと主人に近づくものには警戒(けいかい)を向ける鋭い視線だったが、ボートの上にあったのは、上流階級らしく着飾った少女の姿だった。
「まあ、伯爵じゃありません? 奇遇ですわね」
くるくる巻いたオレンジ色の髪。ビスクドールみたいに白い肌、瞳の大きな美少女だった。
「これは、レディ·ロザリー·ウォルポール。ご機嫌いかがですか?」
ウォルポール? もしかして、男爵(だんしゃく)家の血縁なのだろうか。
そういえば、男爵令嬢はひとつ年上の従姉(いとこ)と叔父(おじ)と暮らしていたという。
少女のそばには、三十すぎくらいの男性がいた。身なりにお金をかけているのがわかる、なかなかのハンサムだ。彼女が紹介するには叔父だということで、グレアム·パーセルと名乗った。
- 相关热词搜索: 伯爵 妖精 第三章 牛奶 橘子 3.2
- 上一篇:日语哲理短句:君子交绝 不出恶声
- 下一篇:日语分类词汇:"鸟类"相关词汇盘点
相关阅读
- 《伯爵与妖精》片尾曲~My Fairy~08-26
- 魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第三章3.409-09
- 魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第三章3.611-16
- 魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第四章4.209-10
- 魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第四章4.309-19
- 魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第五章5.809-26