《伯爵与妖精》卷二第四章高贵的恶魔4.4
(だがな、ようやくあの方も自由になれる。オレさまがあの方の声を聞きつけて、お助けすることになったんだからな。ああ、オレさまにも運が向いてきたってことさ。霧男(フォグマン)さまとともに、昔の威厳を取り戻すんだ。このごろのガキは、オレさまがつねってやっても恐がりもしねえ。ボギービーストを何だと思ってやがんだ)
子供のころは妖精が見えやすいものだが、このごろはそうでもなくなってきている。妖精の存在感が薄くなってきているからか、恐ろしい妖精の話を聞くことも少ないせいか、つねられても、何が起こったかわからないのだろう。
(見てろよ、人間ども。霧男さまの復活だ。ロンドンの霧は、再び恐怖に彩(いろど)られるんだ。青騎士|伯爵(はくしゃく)の奴なんぞにじゃまはさせない。今度こそ霧男さまが、奴を葬(ほうむ)ってやるんだからな!)
「あ、青騎士伯爵?」
思わずリディアは声をあげた。
それはつまり、今現在、青騎士伯爵の名を受け継いでいるエドガーのことだ。
(そうだ、フェアリードクター、おまえが奴の手下だってことはわかってるんだからな!)
「伯爵があなたたちに何をしたっていうのよ」
(決まってんだろ、霧男さまを封じ込めたのは青騎士伯爵だ。水入り瑪瑙を壊せば霧男さまは外へ出られるが、長年封じられたままで力が弱っていらっしゃる。だがそれは、霧男さまを封じた青騎士伯爵の命を喰(く)らえばもとに戻る。外へ出てすぐ伯爵を喰えるよう、オレさまが条件を整えるのさ。奴を葬ってこそ、あの方は完全に復活できるんだ!)
「リディアさん、大丈夫ですか?」
くらくらとめまいがした。ドーリスに支えられる。
(青騎士伯爵、長いこと行方(ゆくえ)不明だった奴がようやく現れた。準備は整ったってわけさ!)
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