双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(27)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅱ(2)
ことなかれにやり過ごし、埃は外に掃き出さずとも、部屋の隅に寄せてさえ置けば、流れて行く時間がハリボテの「家族」いくらは作ってくれる。
しかし、家族関係は神経質なものだ。無神経で居られる場所ほど、実は細心の神経を求める。ひびの入った茶の間の壁に、たとえ見慣れて、それは笑いの種に変えられたとしても、そこから確実にすきま風は吹いてくる。笑っていても、風には吹かれる。
立ち上がって、そのひび割れを埋める作業をしなくてはならない。そのひび割れを、恥ずかしいと感じなければいけない。
なにかしらの役割を持つ、家族の一員としての自分。親としても自分。配偶者を持つ身としての自分。男としての自分。女としての自分。すべてに「自覚」がある。
恐ろしく面倒で、重苦しい「自覚」というもの。
その自覚の欠落した夫婦が築く、家庭という砂上の楼閣は、時化ればひと波でさらわれ、砂浜に家族の残骸を捨てて行く。
砂にめり込んだ貝殻のように、子供たちはその場所から、波の行方(ゆくえ)を見ている。
淋しいのではなく、悲しいのでもない。それはとてつもなく冷めた眼で見ている。
言葉にする能力を持たないだけで、子供はその状況や空気を正確に読み取る感覚に長けている。そして、自分がこれから、どう振る舞うべきかという演技力も持っている。
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