双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(30)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅱ(5)
それは、前に住んでいた学生食堂の隅の部屋の時もそうだったが、やはりそこに住んでいるというより、"お世話になってる"という気持ちがあるからだ。
自分には家族が居る、という気持ちは、どんな安普請でもいいから、自分の家があるという気持ちの上に成り立つものなのだろう。
だから、一緒に住むばあちゃんのことを家族だと思ったこともない。居候のボクがそう思うのは厚かましいと感じていたところもあるからだ。
オカンの居るところに、ただ居る。それだけが心のよりどころだった。
そんな気持ちからなのかどうかわからないが、小さな頃から、やたらとボクは動物を飼いたがった。
拾ってきた犬。買ってもらったウサギ。川で捕えた亀(かめ)やザリガニ。十姉妹にヤモリにカブト虫。なんでもかんでも家に持って帰って来る。ばあちゃんが魚屋で使っていた、タコを入れる樽(たる)をもらって、蛇でも雷魚でも放り込んで飼っていた。
「家族」について作文を書くという宿題は、ただ、その動物たちの名前を延々、箇条書き出して原稿用紙を埋めて終わる。なんの感情も状況も描かず、動物の名前の羅列に始終する、乾いた作文だった。
とはいえ、その「家族」や親の問題をひどくコンプレックスに思っていたかといえば、まるでそうではない。自分にとっては、そんな状況が当たり前のことになっていたし、取り立てて、他の一般的な家族を羨ましいとも思わなかった。ただ、そのことはもう、ほっといて欲しかった。親戚の中でも、それを話題に出されてことさら不憫に言われることの方が嫌だった。
筑豊の炭坑町は、近いうちに炭坑の閉山が決まって、子供たちの眼から見ても活気が衰え、町全体が薄暗くなってゆくのがわかった。
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