双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(49)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅱ(24)
言えば買ってくれるだろう。しかし、急にこんな曲を聴きだして、アダルトになったなと思われるのが恥ずかしいというか、嫌だった。この子も大人になったものだわと思われたりしたら困る。
しかし、結局、「港のヨーコ」への欲求は抑えきれず、商店街に行くというオカンに頼んで買った来てもらうことにした。
「これでいいとね?」とオカンが買ってきたレコードをボクの前にぶら下げると、ぶっきいらぼうにそれを取り上げ机の部屋に篭(こめ)り、ポータブル・プレーヤーで早速、聴いた。
背伸びした気持ちのグルーヴが腰骨に響き、ひとりですっかり踊り始めていると、オカンが突然部屋に入って来て「おもしろい曲やねぇ」と言うので、真っ赤になって「入って来たらいけん!!」と閉(し)め出し、ボリュームをものすごく「小」にして聴き入った。
あの感情はなんなのだろう?仔犬を見てあんまり大きくならなければいいのになぁと思ったりする"かわいさの条件"を自分に当てはめようとしていたのだろうか?
そんな感情は、しばらくボクの中に続いた。
オカンも二、三枚だけ自分のレコードを持っていて、中條きよしが好きだった。
この時代の人は、音楽をなにかしながら聴くという発想がないらしく、たまにレコードを聴く時は、いつもポータブル・プレーヤーの前に、正面向かいて正座し、ビクター犬のようなかたちになって中条きよし野「うそ」に聴き入っていた。
そしてある時、中条がボクらの町の近くに巡業(じゅんぎょう)で回って来ることになった。学校からの帰り道にある角の煙草屋の壁に、その公演を公知するポスターが張り出されていたのだ。
それはちょうどオカンの誕生日の当たりで、ボクはそのコンサートのチケットを誕生日プレゼントにしようと考えたのである。
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