双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(65)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅱ(40)
オトンには「事務所」と呼んでいる場所があった。ちょっと事務所に行って来るわ、とか、今日は事務所に行っとるけん、チビも街の方まで出て来いなどと言っていた。
一度、その「事務所」という所に連れて行かれたことがあった。歓楽街の外れにある雑居ビルの一室だった。
入り口を開けると、背の高い歓楽植物の鉢植えがいくつも置いてある。それは、この場所のためにあるのではなく、どこかに運ぶために集めてあるようだった。
「あら?なーさんのところのぼっちゃん?」
派手なおばさんとスリー・ピースを着たおじさんがボクの周りを取り囲んだ。机が二、三個、簡単に並べてあるだけで、ここがなんの事務所なのか、小学生でなくてもさっぱり見当がつかないと思う。
「やっぱり、よう似とるねぇ」
髪をツルッルに剃(そ)った、身体のものすごく大きい男の人がボクの肩を掴み、顔を覗きこむように大きな身体をかがめた。肩に乗ったその人の大きな手を横目で見ると、大きな指に指輪をしている、のではなく指輪の柄の入れ墨を彫っているのだ。
身体が固まって低温の汗が出た。
「そうね。やっぱり似とるかねぇ」
オトンはうれしそうな声を出しながら、はにかんでいた。
「やっぱ、親子やねぇ。瓜ふたつたい」
威圧感のあるルックスの人々が満面の微笑を携えながら、顔を並べてボクを覗き込む。
理屈ではなく、肌で感じる恐怖でビビッてしまったボクは、最後までひと言も喋られなかった。人をそんな恐怖に縮れる所。それが、オトンの「事務所」だった。
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