双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(76)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
Ⅲ(4)
一日中、魚を積んで引いて歩いたリヤカーを、夕方、掃除するのがばあちゃんの一日の終わりだった。
ホースから打ち水で汗と魚の匂いを流しながら、たわしで念入りに磨きあげる。ボクがその掃除を手伝っていた時、ばあちゃんはリヤカーを磨きながら、ボクに目をやることもなく言った。
「あんた、中学から小倉に行くちね……」
「うん……」
「そうね。よかったやないね」
「でも、休みのたびに来るけんね……」
「ああ。いつでも来んしゃい……」
オカンとばあちゃんは実の親子だけど、普段、あまり話をしている様子もなかった。ばあちゃんは言葉数の多い人ではなかったし、オカンは出戻って来た自分の状況とを、うまく組み合わせることができなかったのかもしれない。
その時のばあちゃんは本当に淋しそうだった。
病気をしてやつれたこともあったし、髪を染めることもやめていたから、いつの間にか存在が真っ白になっていた。
長年、子供たちを育てるために続けた魚屋も畳むことになり、腰を降ろした時には家の中に九人いた子供たちがひとりもいない。
出戻ってきた娘も、初めて一緒に暮らした孫も、やはり出て行くという。
その時、ばあちゃんは"いつでも来んじゃい"と言ったきり、もう使わないリヤカーをいつまでも洗っていた。ボクは、その水を搔く音を聞きながら、いたたまれなくなった。
九州の桜の花が蕾む頃、ボクらは卒業式を迎えた。みんながそれぞれに緊張した顔で、体育館に並んだ。
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