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双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(147)

时间:2012-06-27 14:31:37  来源:可可日语  作者:dodofly

东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。

Ⅴ(17)

ひじきの煮付けや鯖の塩焼き、そうさいのたくさん並んだ狭い大衆食堂。ボクは新宿でここ以外の旨(うま)い店を知らなかった。東京に出て来たおふくろを、おふくろの味の店に連れて行くのもどうかと思うが、他の店がわからなかった。
そうさいを数品取って、ビールで乾杯をした。
「卒業おめでとう。よう頑張ったね」
「ありがとう」
その日はボクも新宿のホテルに泊まり、次の日はみんなではバスに乗った。ばあちゃんは「マーくんのおかげで、いい東京観光させてもろうた」と何度も言った。



特に東京では、属することが大切である。学校でも社会でも、そこにどれだけ中途半端な立場で存在していようとも、属するものがある者にはおおむね寛容である。
しかし、ボクのようにただの無職になった者には風当たりが強い。その中でも、不動産に関してはことさら厳しい。たとえ、アルバイトで月に十五万を稼いでいたにしても、三万円のアパートすら貸してはくれない。
立川から、国分寺に。そして卒業と同時に国分寺のアパートも満了になる。この機会に都心の方へ引っ越したいと考えたものの、どの不動産を訪ねても無職ということで貸してはくれなかった。
その上、一緒に住む予定のバカボンはモヒカンだった。ダンサーの夢破れて、一度九州に帰ったバカボンだったが、田舎でくすぶっていたある日、映画「ビギナーズ」のこんな台詞を聞いて、再び舞い戻ってきていた。
「そこから一歩踏み出さなければ、何もはじまらない」
この月並みな台詞のどこに打たれて、なにを踏み出そうとしているのはまったくもって謎だが、バカボンはこんどこそと自分に喝を入れるため、頭をモヒカンにしたのだが、その気合いも完全に裏目に出ていた。
「オマエがモヒカンにするけんや……」
「先輩が無職やけんよ」
「オマエはモヒカンで無職やろうが!!」

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