双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(155)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
五十五歳になって初めて構えた自分の店。息子の書いた暖簾と、夫の書いたお品書きに囲まれてひとり、その毎日を頑張って旨い料理をこしらえていたに違いない。
しかし、商店街のシャッターが軒並み閉まり、テナントビルが次々と取り壊(こわ)されてゆく筑豊の繁華(はんか)街では、その努力も報(むく)われることがなく、二年足らずで「かっぱ」は閉めることになった。元々、原価三百円かかるものを二百五十円で店に出してしまうオカンのような人は、料理はともかく、経営というものに向かいていなかったのかもしれない。
それでもオカンはあきらめなかった。店を畳(たた)んだ後も、知人が以前、飲食店をつぶしたまま放置してあった小さな場所を借りて、定食屋を始めた。
筑豊の過疎化が進む町の片隅で、毎日、五百円の定食を作り続けていた。
オカンの同級生たちは、もう孫の世話でもしながら、年老いた日々を穏やかに暮らしている。その中でオカンはひとり、腰にサロンパスを貼りながら働き続けていた。
そして、東京の自由地獄にからめとられて毎日を博打と夜遊びに呆(ほう)けるボクは、そんなオカンから毎月のように送金してもらっていた。
サラ金のカードは八枚になった。四日に一度やって来る返済日に利息すら返すこともできずに、家賃も滞納し、下北沢のアパートも追いだされることになった。仕事もほとんどない。月に一、二回あるイラストや原稿の仕事で貰うギャラは三日を過ごす程度の足しにしかならず、仕事の電話すら雀荘で受けるほどにギャンブルに逃げた。
オカンには話せないようなアルバイトで日銭(ひぜに)と麻雀のタネ銭を稼ぎ、その気まずさからオカンに連絡する回数はどんどん減っていた。
同級生の彼氏が事務所に使っていたという自由が丘の部屋を又貸ししてもらって転がり込むことになった。事務机が三つ並んだ殺風景な部屋の隅に蒲団を置いて暮らした。
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