双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(171)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
ヨード治療を始めるまでの準備期間はホルモン剤の服用は禁止される。しかし、ホルモン剤を飲まなければ、ひどく身体がだるいのだとオカンは言っていた。その他にも、昆布、海苔、トコロテン等の海藻類は食事制限される。昆布でだしを取った料理もいけない。
実際にヨード治療が始まると、放射線治療のため、三週間、隔離された病室から出ることができない。
ボクが六歳の時、赤痢にかかって隔離病棟に入れられた時、自分は感染していないのにボクと一緒に隔離病棟に入ってくれたオカン。
それから二十数年後に、今度は放射線を浴びるためにひとりで隔離されている。
この治療を一年に一度受けながら、声帯付近のガン細胞を失くしていかなければならない。医師は、オカンの体質的にこの治療法は合っていると言った。
とにかく、苦しいだろうが完治してもらえるならばオカンにも辛抱してもらうしかない。
一度のヨード治療も終わって、少し元気を取り戻したオカン。年を取れば病気を治すというよりも、いかに病気と共存してゆくかを考えなくてはならないというが、またがん細胞を抱えたまま生活しているオカンのことを思うと心許なく、もどかしく、歯痒い。
自分の身内が死ぬ、母親が病気になる。それは誰にでも起きる当たり前でありきたりなことなのだけど、実際にその現実が自分の眼前に現れるまではリアリティを感じてはいなかった。
もう、自分のことだけを考えて生きてはいけない。どんな状況にあってもそれは当然のことなのだが、現実的に、物質的にそれを実感すると、なにか重苦しい気分に襲われることも正直な事実だった。
なにかを失ったわけではないのに、そんな気がする。なにを要求されているでもないのに、足枷をはめられた気分になる。オカンに対する心配と、その現実を解決してゆかなければいけない自分とのバランスに戸惑い、考える。
やっと三度の飯が食えるようになった時には、もう次の課題が待っていた。今までと違って、今度の課題は大きく、難しい。
いや、なによりも苦しい。
「オカンの冥土の土産にみんなでハワイに行こうと思いよるんよ。そやけん、あんたも一緒に来なさい」
おばちゃんから電話があった。
「死ぬ前にハワイでも行っとかんとねぇ」
オカンも行く気満々のようだった。すっかり元気を取り戻したオカンやおばちゃんたちは、ガンをギャグのネタとして使えるようになっていた。
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