魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一 第二章2.1
現れたのはエドガーだ。「おはよう」とさわやかに微笑(ほほえ)む。明るい金髪が朝日にまぶしい。
神さまはこいつをひいきしすぎではないだろうか? とねたましく思うほどだ。
「何か用?」
「これからのこと、打ち合わせをしておこうと思ってね」
我が物顔で部屋へ入ってくる。ソファのひとつに腰をおろす。ついてきた異国人の召使いは、ドアのそばに控えれば微動(びどう)だにしない。
ニコはすでに食事を終え、クッションの上で身体を伸ばしていたため、めずらしい食事姿がエドガーの目に触れることはなかった。
「まず、これを見てくれ」
そばのテーブルに、エドガーはコインを置く。彼と向かい合うようにリディアも座り、コインを手に取った。
「古い金貨ね」
「伯爵家の紋章(もんしょう)が入っている。それに、何か刻んであるだろう? 言い伝えによると、妖精が刻んだ妖精の文字らしい」
「小さすぎてわからないわ」
「フェアリードクターなのに?」
リディアは少々むっとする。
「あのね、こんなの虫|眼鏡(めがね)で見ればいいじゃない。妖精がどうこうって話になると、何でも謎めいたふうに思えて、不思議な力であっという間に解決! なんて期待するのかもしれないけど、フェアリードクターの武器は妖精に関する知識と交渉能力なの。あたしは魔法使いじゃないわ」
「よくわかったよ。で、これが拡大鏡で読みとった写し。今度は読める?」
さっと紙切れを差し出され、リディアはあからさまに眉(まゆ)をひそめた。
最初から出せばいいのに。
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