魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第五章5.3
あまりに唐突(とうとつ)で、不思議な質問だった。
「なんとなく、虹色の蝶(ちょう)の羽を隠してるんじゃないかと思って」
それは、妖精の取り換え子と呼ばれるのとは、まるで違う感覚だった。
たぶんリディアの、人の言葉をくもりなく受けとめ、自分を取り繕(つくろ)うことも知らないまま、思ったままが口に出る不思議さを、別世界の住人のようにとらえたのだろう。
恥ずかしくなるくらい気取ったせりふではあったけれど、妖精になぞらえられても不愉快(ふゆかい)な印象はなく、ただリディアは、エドガーには妖精そのものに見えるのかもしれない自分のことを、やわらかく受けとめていた。
エドガーがそばにいると、これまでとは違う自分になれるような、そんな瞬間がたびたびある。悪人だと思おうとしても、リディアはそのたびに複雑な気持ちにさせられるのだ。
何気なく彼が足を止めた場所で、リディアも立ち止まった。
庭園の一画(いっかく)に、ほこらのようなものがある。
小さな天使の像がおさめられたそこは、あきらかに子供のための墓地だった。
「〝眠れる人魚の子供たちのために〟か。たしかに慰霊碑(いれいひ)のようだけど、人魚の子供とはどういうことだろう」
「島の人はメロウの血を引いてるって言ってたじゃない。きっとメロウの血が濃すぎて生きられなかった子供たちよ。昔なら、洗礼も受けられなかったでしょうし」
「なるほど。こういった孤立した島なら、住民はみな親戚だ。近親婚(きんしんこん)が重なれば、ある種の病気や特質が現れやすくなるのも頷(うなず)ける」
「メロウのせいじゃないって言いたいの? ……そりゃ、本当のところはわからないけど、島の人々はメロウの血筋を信じてる。あなたは、そういう場所の領主になるつもりなんでしょう?」
「領主が妖精を信じなくてはいけないのか? べつにどうでもいいじゃないか。人魚だろうが病気だろうが、島民に鱗(うろこ)やひれがあってあたりまえならそれだけのことだ」
あたりまえ。信じないけどあたりまえ。
不思議なことを耳にした気分だった。
見えないものは信じない、けれどそこに存在する現象は、少なくとも鱗やひれのように見えるものがあるというなら、それはすんなり受け入れるという。リディアは不思議に思いながらエドガーを見た。
妖精を信じない人は、妖精が見えないという状態を受け入れるのではなく、そんなものはいないと結論づけ、そちらを信じたがるものだ。
だから、妖精を見てしまう他人のことも否定する。けれどエドガーの理屈では、彼自身は妖精がいるとは思っていないが、いてもべつにかまわないということだ。
だからリディアのことも、バカにしない。
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