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魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第6章6.2

时间:2011-09-27 13:52:34  来源:可可日语  作者:ookami

「おい、先生じゃねえか。なんでここにいるんだよ」
 声は、カールトンが監禁(かんきん)されている部屋の中で聞こえた。だがこの部屋には、彼のほかに誰もいないはずだ。
 不審(ふしん)に思いながら見まわすと、窓辺に灰色の猫が腰かけていた。
 そう、まるで人間のように、ネクタイを結んだ猫がちょこんと腰かけているのだ。
「ニコ……」
 もちろんこの猫が、猫ではないことは知っている。知っているつもりだが、目(ま)の当たりにするたび違和感がある。
「リディアが、ゴッサムたちに連れていかれた。宝石を探すために……」
 猫は窓から飛びおり、二本足でてくてくとカールトンに歩み寄り、器用に腕、いや前足を組んだ。
「どういうことだ? リディアは金髪の貴族と一緒だったはずだけどな」
 本当いうとカールトンはいつも、ニコを持ちあげていろいろ調べてみたい衝動(しょうどう)にかられるのだが、姿はともかく相手が対等な紳士だとすれば、じろじろ見るのさえ失礼に当たると思い我慢する。
 リディアの母の相棒でもあったニコは、リディアのことも幼い頃から見守ってくれている。
 カールトンともいちおう長いつきあいだ。妖精が見えないカールトンにとって、唯一接することのできる妖精だった。
「そうだったんだが、ゴッサムにつかまったんだよ。私もゴッサムにだまされて、リディアを捜すためだとここまでついてきたんだが……」
「どっちにしろ、リディアは宝剣の隠し場所へ向かってるわけか。……まずいな」
「まずいのか? あの貴族の青年が、リディアをメロウの犠牲にするかもしれないとか、男装の女性が言っていたが」
「ああ、メロウと青騎士|伯爵(はくしゃく)との約束では、本物の伯爵家の子孫がいない限り、宝剣を手にすればどうしても死人が出るみたいだぜ」
 近づいてくる足音に、ニコは口をつぐんだ。そうしてさっと姿を消す。
 ほぼ同時に、乱暴にドアが開けられた。部屋へ入ってきたゴッサム家の長男は、殴(なぐ)られたことがひとめでわかる悲惨(ひさん)な顔だ。
 リディアにはハスクリーと名乗っていたらしい彼は、あきらかに不機嫌に、カールトンに八つ当たりするかのように椅子(いす)を蹴った。
「あんたの娘は、また強盗に連れ去られたぞ」
「はあ、どちらにしろ、私にとって最悪の事態には変わりないんだが」
「あんたが俺たちの手にある限り、娘は〝メロウの星?を奴に渡すわけにはいかない。命じたとおり宝石を手に入れようとするだろうが、あの男は姑息(こそく)だ。小娘ひとりに手に負える相手じゃない」
「君の手にも負えないようだ」
 ハスクリーは、ひくりと眉(まゆ)を動かしたが、苛立(いらだ)ちは押さえ込んだ。
「……とにかく、奴を追って宝石をいただく。あんたも来るんだ」
 次男と三男が、カールトンを両側からかかえるようにして立たせた。
 ニコの姿を探すが、見えないままだ。しかしそのへんにいるはずだと、彼はつぶやく。
「どうやら時間がなさそうだ」
「しかたねえ、とにかくおれが先に行く。先生はこれを持っててくれ」
 声だけが聞こえると、ミントの葉が、カールトンの内ポケットに舞い込んだ。
「ブラウニーが香りをたどって来るはずだからな」
「おい、何をしゃべっている」
「べつに、独り言だよ」
 ため息をつきつつ、カールトンは連れられるままに部屋を出た。
 母親と同じ、フェアリードクターになりたいというリディアのことを、カールトンは反対しなかった。けれどもその特殊(とくしゅ)な能力を隠していないために、こんなことに巻き込まれてしまった。
 妖精が見える体質を受け継いでしまったリディアも、苦労の絶えない人生を送るのだろうか。それよりも、母親に似た何よりの問題は、どうしようもない男に弱いというところかもしれない。
 貴族で強盗で誘拐(ゆうかい)犯、カールトンは、今リディアと一緒にいるはずの男を思い浮かべ、やるせない気持ちになった。

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