魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第6章6.2
「エドガーさまは、自分の身のために宝剣を得ようとしているのではありません。あの方の胸にあるのは、|貴族の義務(ノブレス?オブリージュ)、ただそれだけです」
それはまるで、主人の立場をリディアに弁解するかのように。
けれどもよくわかる。
ノブレス?オブリージュ。主君として、家臣やその家族、領民たちを守り導くというつとめ。封建(ほうけん)領主(りょうしゅ)の時代から騎士道精神を受け継いできた階級は、けっして優雅なだけの身分ではなく、人々の上に立つだけに、重大な責任と義務を背負っていた。
戦(いくさ)の最中に、部下や民(たみ)を捨てて逃げるなど許されない立場だ。
エドガーは、レイヴンとアーミンのために、戦うことをやめずに来た。たぶん今も、引き下がるつもりはないということだろう。
「リディア、ちょっと来てくれ」
戻ってきたエドガーは、まだ心痛(しんつう)を引きずっている様子ではあったが、ごくふつうにリディアを呼んだ。
「レプラホーンが地下に隠しているというのは、金貨じゃないか?」
そうして、階段の裏側へリディアを招く。
「ええそうだけど。何かわかったの?」
「青騎士伯爵の金貨だよ。妖精の詩が刻んであるこれだ。それにここ、壁に穴があるだろう? 金貨とぴったり同じ大きさだ」
「ほんとだわ!」
「入れてみる?」
リディアは頷(うなず)く。
壁の隙間(すきま)へコインが落ちていく。と同時に、からくりの動く音とともに、階段が動き始めた。
やがて床にぽっかりと穴があく。さらに下へ階段が続いている。
「行こう」
エドガーに続いて、リディアも穴へと入っていく。最後にレイヴンがついてきた。
このまま進めば、リディアの身には危険がせまることになる。けれど父を助けるためには〝メロウの星?が必要で、リディアは先へ進むしかない。
エドガーとともにひとつ謎を解いたことが、共同作業のように思えて、ともに宝剣を目指すことに気持ちが高まっているのも否(いな)めない。けれどその一方で、命を懸(か)けて、このまま他人を犠牲にし続けていいのかとエドガーに問いかけようとしたアーミンの行動は、エドガーが本気でリディアを殺すつもりだということを証明している。
罪を犯させたくないと願ったアーミンの気持ちが、エドガーに届けばいい。しかしそう考えると同時に、すぐ後ろにいるレイヴンの気配に否定される気がした。
きっと彼らの決意は、そんな感傷では動かない。
レイヴンは、姉の死の意味と願いに気づいていながら、エドガーについていくつもりだ。そしてエドガーは、レイヴンのためだけにでも、|貴族の義務(ノブレス?オブリージュ)をまっとうしようとするだろう。
けれど彼らのように、リディアにも守るべきものがある。もちろん父だ。
修羅場(しゅらば)をくぐり抜けて生きてきたこのふたりを相手に、世間知らずの自分がかなうわけはないと思いながらも、行くしかなかった。
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