魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第六章6.6
道は、そう長くはなかった。少し行くと、岩場にぽっかり口を開けた暗い空洞(くうどう)を横切る吊り橋があり、それを渡りきれば、岩壁に取りつけられたドアがあった。
ドアに近づこうとしたリディアを、エドガーが止める。
「バンシーの次はもうメロウだね。なら慎重(しんちょう)に行動した方がいい」
「慎重にって?」
「宝剣に近づいた者はみんな死んでるんだろう? ここには何か仕掛がありそうだ。ほら、歯車の一部が見える」
橋を造っているロープがつながる岩陰に、たしかに仕掛めいたものがあった。
エドガーは、コートの内ポケットからカードを取り出した。銀の薄い板状のものだった。片面におうとつがあり、妖精詩の金貨と同様細かな文字が彫られているのがわかるが、内容まではわからない。それが、アーミンの言っていた、青騎士伯爵の宝剣の謎に触れる、エドガーが隠していたものなのだろうか。
「それは?」
「このドアを開く魔法の鍵」
ドアノブのそばには、銀板が入るくらいの細い溝があった。それが鍵穴だということか。
そのとき酒蔵の方から、急に騒がしい足音が聞こえてきた。ランプの明かりがうごめく人影を大きく映し出すと、それはやがてこちらを照らす。
「ジョン、待て! これ以上好きにはさせないぞ!」
「いいかげん、きみの顔を見るのは飽きてきたよ、ハスクリー君」
「おい、つかまえろ」
不遜(ふそん)なエドガーの態度に警戒しながらも、ハスクリーは弟たちに指図(さしず)する。
慎重に近づいてこようとしている彼らを後目に、エドガーはドアに歩み寄った。
そのとき、どこからともなくうなるような音が聞こえてきた。ゴッサムたちも立ち止まる。
岩の空洞を振動させながら、嵐のような音がこちらに近づいてくる。
「……何だ……?」
ひるんだ男たちのつぶやきが、悲鳴に変わったのは、急に突風が吹きつけたからだ。
「メロウだわ、メロウの魔力よ……」
リディアはつぶやいた。
吊り橋が激しくゆれ、つかまっていても振り落とされてしまいそうだ。
おさまりそうにない風のうねりに重なって、美しい歌声が聞こえる。
幻聴(げんちょう)かとも思えるそれは、聞こえるというよりは身体の奥に忍び込むような歌声だ。夢のような響きで人を眠りに誘う。
どうにか吊り橋のロープにつかまっているのに、力が抜けていきそうになる。
ここから落ちて、浜辺に藻屑(もくず)と打ちあげられることになったのだろう、幾人(いくにん)もの泥棒たちのことをぼんやりと考えていると、エドガーがリディアの腕をつかんだ。
「リディア、レイヴン、こっちへ来るんだ。ドアにつかまってろ」
風に逆らいながら、エドガーはふたりを引き寄せる。そして素早く、銀板をドアの隙間(すきま)にさし込んだ。
唐突(とうとつ)に、風がやんだ。同時にメロウの歌声も途切れる。
呆然(ぼうぜん)とへたり込んでいるリディアを、エドガーは開いたドアの中へと引きずり込む。と同時に、歯車が動き始める。
何が起こるのか考えるひまもなく、いきなり吊り橋が真ん中で切れた。
底なしの暗い穴へ、橋だったものがすいこまれていく。ハスクリーたちはあわてて向こう側に飛び移る。
こちらへ進み出ていたひとりが、戻りきれずにドアの方へ飛ぼうとした。
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