魔幻小说:《伯爵与妖精》卷一第六章6.9
「ここはまかせてもいい?」
不可解そうに、レイヴンは首を傾げた。
リディアはハスクリーたちの方を確認するが、妖精たちにぼろぼろにされつつあるようだった。
「彼らはもう、争う意欲も力もなさそうだけど、いちおう気をつけて、父と一緒に城から出て」
「リディアさん、あなたは?」
「何もできないかもしれない。でも、できるだけのことはやってみるわ」
それから、心配そうな父の方を見る。
「父さま、あたしはフェアリードクターだから」
「わかった。気をつけるんだぞ」
宝剣を握り直し、ついさっきまでメロウがいた、光る苔(こけ)の岩にリディアは近づいた。
「ニコ、お願い」
「まさかリディア、メロウと取り引きするつもりじゃ……」
そばへやって来たニコは眉間(みけん)にしわを寄せ、不満げにヒゲをゆらす。
「この水たまりからメロウの海につながってるんでしょ? 妖精なんだから、妖精の道は案内できるわよね」
「そりゃ……、しかしな、取り引きをしくじって、メロウの棲(す)みかでメロウを怒らせてみろ、海の底じゃあっという間におぼれ死ぬぜ」
「そんなことわかってるわよ」
「あの貴族のためか?」
「彼はあたしに、うそはつかなかったわ」
「あんなの一瞬の気まぐれだ。直前まで、あんたを殺(や)る気満々だったし、今ごろ殺っときゃよかったって後悔してるに違いない。後悔できる状態ならだがな」
「ニコ、案内してくれないならひとりで行くわよ」
「あーもう、わかったよ!」
ニコはリディアにしっぽを差し出す。
「しっかりつかまってろよ」
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