双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(202)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
レントゲン写真の並んだライトボックスの横でカルテに目をやりながら、並んで座るオカンとボクにT先生は甚だ淡白な口調で言った。
「大丈夫です。取りましょう」
「声帯は、やっぱり全摘なんでしょうか……?」
「いや、温存します。取りませんが、ガン細胞は切除(せつじょ)します」
「あの、声の方は……?」
「大丈夫だと思います」
「……。あ、よかった……」
漫画ならことで「やったー!!よかった!!」と呼び、親子手を握り合い涙を流し、なんなら拳を突き上げてジャンプしようかというところだが、現実は、あまりの判断の違いに拍子抜けしたという感じだった。
説明では、声帯付近のガン、食道のガンは、すべて摘出するが、声帯は極力温存し、切除した部分にオカンの身体の別の部分から、皮膚?軟骨?を移植する。しばらくは喉に穴を開けて気管孔を作り……。
専門的な説明が難解であったが、とにかく、声を残してガンは取る。まさに一石二鳥とはこのことであり、舞い上がってしっかりと説明も聞いてはいなかったのである。
しかし、これほどまでに医師の判断と技量に差異があるのもどうなのだろうか?今回は前任の医師が紹介状を書いてくれる懐を持っていたことと、T先生は帰国していたことが重なりオカンは「運」というものを手にしたわけだが、結局、人生も博打も技量と運に左右されてしまうものなのだろうか。
手術の日程がすぐさま決定し、施術の二週間前からオカンは入院することになった。いずれにしても、年寄りの大手術である。気力はさておき、体力的な面を考えれば安心を許す状況でもない。
そして、手術の噂を聞きつけたオトンが入院の二日前に東京へやって来た。オトンに会うのは五年ぶりぐらいだろうか。東京で顔をあわせるのはボクが十八の頃、赤坂の料亭で行われた怪し気な談合に付き合って以来である。
オトンがわざわざやって来るくらいなのだから、この手術はやっぱり大変なものなのだなと、改めて思った。
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