每日阅读(7.08):「魔」の悲劇
19世紀のフランスの詩人ボードレールの散文詩「パリの憂愁」には、人間の首にとりついて離れない魔物「噴火獣」が出てくる。三島由紀夫は、初期の代表作「仮面の告白」の自序原稿の一つに「人みな噴火獣(シメエル)を負へり」と訳詩一行を記した。
19世纪法国诗人波德莱尔的散文诗《巴黎的忧郁》中,出现过一只缠着人的头颈不肯放开的“喷火兽”。三岛由纪夫为自己初期代表作《假名的告白》写下的一篇自序原稿中,引用了一行翻译过来的诗句,“人人都背负着喷火兽”。
「仮面の告白」は、戦後間もない昭和23年、1948年の今頃から書かれた。「さて書下ろしは十一月廿五日を起筆と予定し、題は『仮面の告白』といふのです」と、編集者に書き送っている(『決定版 三島由紀夫全集』新潮社)。
かき‐おろし【書(き)下ろし】 小説・論文・脚本などを、新しく書くこと。また、その作品。すでに雑誌などに発表されたものに対していう。「―の長編」
《假面的告白》起草于战后不久的昭和23年,即1948年的这个时候。三岛给编辑寄去的信中写到,“新作品计划在十一月二十五日动笔,题目为《假面的告白》。” (《决定版 三岛由纪夫全集》新潮社)。
それから22年後の70年の11月25日に、三島は東京の陸上自衛隊市ケ谷駐屯地で自衛隊の決起を訴え、割腹自殺した。ノーベル賞候補にもあげられた文学の他、ボディービルや剣道、映画出演といった多彩で華やかな活動の果ての行動だった。
22年后的70年11月25日,三岛在东京陆上自卫队市之谷驻地煽动自卫队暴动,后切腹自杀。他曾获得过诺贝尔奖候选人资格,此外还参加过健身活动、剑道和电影演出等丰富多彩的活动,在其尽头,他采取了自杀的行动。
死の10年以上前、対談で文芸評論家の小林秀雄が述べた。「率直に言うけどね、きみの中で恐るべきものがあるとすれば、きみの才能だね……ありすぎると何かヘンな力が現れて来るんだよ。魔的なもんかな」
在三岛去世前十几年,文艺评论家小林秀雄曾在和他谈话时提到过,“恕我直言,如果说在你体内存在一种令人恐惧的东西的话,你的才能……积累得过多的话,会体现出一直奇特的力量。像是有魔性一样。”
この対談で小林が繰り返した「魔」について秋山駿氏が記す。「才能の魔とは、つまり、才能を持っている当の主人を亡ぼすもののことだ。三島氏が抱いている生の『悲劇』のようなものを、早くに直覚したのであろう」(『小林秀雄対話集』講談社文芸文庫)。
秋山骏氏记述道,在他们的谈话中小林一直重复着关于“魔性”一词。“才能的魔性,正是毁灭拥有这种才能者的黑手。小林或许早已察觉到三岛生命中所蕴藏的‘悲剧’一类的东西。”(《小林秀雄对谈集》讲谈社文艺文库)
三島が、いわば一瞬のうちに沈黙してから35年が過ぎた。しかし作品を開けば、文字は朗々と語り始め、あやなす日本語の魅力は尽きない。自殺の現場の部屋には、当時の刀傷が残っている。
あや‐な・す【×綾なす】 1 さまざまの美しいいろどりを示す。美しい模様をつくる。「錦(にしき)―・す木々」
2 (「操す」と書く)巧みに扱う。あやつる。「いろいろな男を―・した経験で」〈荷風・つゆのあとさき〉
从三岛瞬然而逝的沉默至今已过了35个年头。但只要翻开他的作品,朗朗读起他笔下的文字,就能感受到日语无尽的魅力。自杀现场的房间中还残留着当时的刀痕。
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