每日阅读(10.3):朶の雲
「一朶(いちだ)の」とは、花のひと枝や雲のひとかたまりを表す時に使われる。司馬遼太郎さんが、『坂の上の雲』(文芸春秋)のあとがきに書いた。「のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲がかがやいているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう」
“一朵”常用于形容花的一根枝头或一块云团。司马辽太郎在《斜坡上的云》(文艺春秋)的后记中写到:“往高处延伸的斜坡之上,蔚蓝的天空中若飘有一朵白云,或许我们只为追寻它的脚步而爬上斜坡吧。”
政府も軍もまだ小さかった明治期を舞台に、やがて日露戦争を勝利に導く群像に光を当てて描いた。当時、部分部分の義務と権能をもたされたスタッフは、そのチームを強くするというただ一つの目的に向かって進んだとも司馬さんは述べる。一朶の雲とは、群像の目標であり、当時の日本が追い求めた国の姿でもあったのだろう。
该书以政府和军队还处于雏型时的明治时期为舞台,歌颂了不久后将日俄战争引导向胜利的人们。司马先生说,当时每个人都拥有各自的义务和权利,他们朝着唯一的目标——让团体更强大而共同前进。一朵云,或许既是所有人的目标,也象征着当时日本所追求的理想国吧。
日露戦争の後、日本は坂道を転げ落ちるようにして泥沼の戦争にのめり込む。行き着いたのが太平洋戦争だった。『坂の上の雲』には、駆け足で近代化を進めた時代を扱いながら、後の苦い歴史までをも見通す独特の視点が生きている。
日俄战争后,日本像从斜坡上滚落下来一般,陷入了泥沼战争中。最后终于迎来了太平洋战争。《斜坡上的云》在描述这一近代化飞速发展的时代的同时,还以独特的视点预见到之后的苦难历史。
司馬さんが72歳で急逝したのは、96年の2月12日だった。その時、妻みどりさんが発表したメッセージにこんな一節がある。「司馬遼太郎はいつもこの国の行く末を案じておりました」
司马先生于96年2月12日突然撒手人世,享年72岁。当时,他的妻子绿夫人发表的悼文中有这样一节。“司马辽太郎一直担心着国家的未来。”
それから10年後の、この国の姿はどうだろう。国民の信頼を裏切るような問題の続発は、戦後の日本の60年の軌跡を問い直すようにもみえる。
司马先生去世10年后,这个国家又变成了什么样?背弃国民信任的问题层出不穷,不由让人再次诘问战后日本60年所走过的轨迹。
焦土から立ち上がり、国際社会に復帰し、経済成長を遂げ、バブルが崩壊して今に至る。この激動の中、いわば視線を中空に漂わせたまま、なりふり構わずに突き進んできたのかも知れない。今は、足元を見つめ直す時だろう。
从战后到今天,日本经历了从焦土废墟中重振,回归国际社会,经济飞速发展,泡沫经济崩坏的时代。在翻天覆地的变化中,或许可以说日本一直将目光投向半空,不顾一切地向前冲。如今是否到了该重新审视一下身边的时候了。
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