每日阅读(10.13):美しい都会
手の指先をすぼめて空に向けたような形の聖火台から、すっと炎が消える。トリノ冬季五輪の幕が閉じた。テレビ画面の濃い闇の向こうから、大会の幾つもの場面がよみがえってきた。
すぼ・める【×窄める】
[動マ下一]すぼ・む[マ下二]すぼむようにする。小さく縮める。「肩を―・めて歩く」「傘を―・める」
指尖合拢高举向天空的圣火台上的火焰骤然熄灭。都灵冬奥会落下了帷幕。看着电视画面上深深的黑暗,笔者不由回想起大会的几个场面。
人々はアルプスを背にしたポー川のほとりの街に集い、雪と氷と風の中で競った。成功と勝利があり、失敗と敗北があった。歓喜と失意とがあった。様々な国の旗が翻り、獲得メダルの数が注目された。しかし国ごとの区別が五輪の眼目とは思えない。
人们聚集于背倚阿尔卑斯山麓的台伯河畔的大街上,在烈风与冰雪的世界中竞技。既有成功与胜利,也有失败与败北。欢喜与失意共存。各国国旗都迎风飘扬,最引人注目的还是其获得奖牌的枚数。但笔者认为,奥运会的重点并不在于各国间的区别。
やはり、記録と自らの限界に挑む選手たちの姿が胸に残る。それぞれの顔や手や足の動きに輝きが宿っていた。
最难以忘怀的,是挑战自我极限的选手们的飒爽英姿。其一言一行一举一动,都闪耀着显赫的光芒。
その光をかげらせるものもある。商業主義や見せ物化、薬物汚染の根は深い。しかし、過去何よりもその輝きを奪ったのは戦争だった。1940年の「東京五輪」は幻に終わった。
然而也有一些东西遮掩了这种光芒。奥运化的商业化、演剧化,以及选手服用禁药都是长久以来一直摆在人们眼前的问题。然而,过去夺走奥运化耀眼光辉的最大的凶手还是战争。1940年的“东京奥运会”也成了泡影。
同じ時代にトリノで、反ファシズム活動を理由に逮捕された詩人チェーザレ・パベーゼが流刑地で書いた。「今日という日に川から霧が湧いて、美しく/都会へ流れこむ……帰ってくる価値はあるのだ、たとえ変り果てても」。遠い獄舎でトリノを思っている(河島英昭『叙事詩の精神』岩波書店)。
当时,都灵市内以反法西斯活动为由被捕的诗人チェーザレ・パベーゼ在流放地写到:“今日 雾迷河川 美如仙境/川流入都市……尚有归回的价值啊,哪怕已是面貌全非。”他在监狱中远远地思念着都灵。(河岛英昭《叙事诗的精神》岩波书店)
そんな歴史もあるこの街で昨秋、ポー川のほとりに立った。そばには釣り糸をたれる人が居た。白くにごった水がゆったりと流れてゆく。ファシズムと戦争がこの地を覆った時代を思いながら、「平和の祭典」を慌ただしく準備する街を歩いた。大会を無事に終えて聖火が消えたトリノの街に、詩人の夢見た穏やかなたたずまいは、もう戻ってきただろうか。
去年秋天,笔者来到曾拥有过这段动荡历史的大街,站在台伯河畔。身旁有人在垂钓。隐隐有些浑浊的河水缓缓地流淌。笔者一边思考着法西斯和战争让这片土地饱受苦难的时代,一边走在匆匆准备“和平的祭典”的大街上。奥运会顺利结束,诗人所梦想的恬静气氛已经回到了圣火熄灭的都灵大街上了吗?
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