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双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(209)

时间:2012-08-16 11:21:52  来源:可可日语  作者:ookami

东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。

「あたしはね、産みたかったんよ……。そやけどね、小倉のばあちゃんが丙午はいけんち、どうしても言うてからね。若松のねぇちゃんとかは、そんなん気にせんでから授(さず)かりものなんやけん産みなさいて言うてくれよかったんやけど、小倉のばあちゃんが丙午はどうしてもいけん、女の子が産まれたらえらいことやち言うてきかんでね……。あたしは本当に産みたかったんよ……」
オカンの目はその当時のことをぎゅうっと一点に思い出したような形になっていた。
六十年に一度巡ってくるという「丙午」という干支。その年に生まれた女の子は男を食い殺すという俗信がその昔にはあった。もちろんそれは非科学的な俗説で、八百屋お七が丙午であったとか、強い生命力を持った干支であるとか諸説あるらしいが、この時代となっては誰も耳を貸さないような話だ。
ボクが生まれた三年後、昭和四十一年は六十年に一度の丙午が巡り合せた年だった。
それは大正生まれの小倉のばあちゃんだけが盲信したことではなく、現実にその年の出生率は低下している。
「そうか。妹がおったら良かったなぁ、オレ」
「そうたね……」
「あれ?でも、あれと違う?もうその時ちいうたら、オトンとオカンは別居しかけとる頃やろ?なんでそんなことになっとるんか?おかしいやん?」
「まあ、そりゃあんた。別居しとっても、することは、しとったけんねぇ」
「なんじゃそりゃ……」
ボクが子供の頃、小倉にあるお寺にいくと、オカンやばあちゃんが水子地蔵もお参りしていた理由がようやくわかった。
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金回りが良くなったわけでもなかったが、仕事場を笹塚のビルの十一階から代官山のマンションに移転することにした。女優の松田美由紀さんが新しく事務所を興すことになり、その場所を探しているところだった。決まりかけていたそのマンションを半分ずつシェアしないかという話になった。
半分ずつなら家賃も今と変わるでもないし、少し仕事環境に飽きていたタイミングだったこともあって、仕事場を移すことにした。それをきっかけに有限会社登録をして、オカンを取締役(とりしまりやく)にすることになった。
十一階の部屋は美由紀さんの会社で働くことになったBJ夫妻に又貸しすることにして、また寝る場所は七階のオカンの部屋へ戻ることになった。まぁ事務所で寝ることだってできる。
その引越しの慌しい最中、ウサギのぶどうが死んだ。
これも俗説だが、ウサギは淋しいと死んでしまう言葉がまことしやかに話されている。ボクもそのフレーズが頭のどこかに残っていたのか、一羽よりも二羽の方がと思ってしまった。

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