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双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(214)

时间:2012-08-20 10:56:03  来源:可可日语  作者:ookami

东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。

宴もたけなわになったあたりで、頃合いを見計らい、興が乗った時にだけ披露(ひろう)するオカンの芸がある。
こっそりと自分の部屋に戻り、オモチャの鼻メガネと入れ歯を装着。豆絞りの手拭いを破って顎の下で結び、踊りながら唐突に登場するのである。
不覚にもボクはそれを見るたびに、大爆笑してしまう。もちろん、他のオーディエンスの反応もバカウケだ。母親がバカなことをやっているという照れ臭さを飛び越して笑える。
なにがそんなにおかしいのかといえば、なにしろ一番大爆笑しているのが常にオカン本人なのである。もう、自分のやってることに最初っからウケちゃってて、腹を押さえてヒーヒー言っているのだ。それはずるい。というか斬新な芸風でもある。見ているこっちがつられて笑ってしまうのだ。
その鼻メガネや入れ歯はボクが小学生の時に駄菓子屋で買ったもので、ボクのものはなんでもすぐ捨てるクセにこれだけは三十年間、オカンの私物として保管されていたのだ。
つまり、この芸は三十年前から姉妹での旅行やココ一番の宴会で長年披露され続けてきたものなのであった。年季が違う。
「あたしがこれしたら、みんな絶対に笑うんやけん」
オカンもこの芸には自信とプライドを持っているようだった。
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楽しい時間は、鈴が坂道を転がるように音色を残しながら足早に過ぎてゆく。なんでもない季節は油断しているうちに特徴を帯びてくる。
照れながら、はにかみながら、時にはギクシャクして起伏を作りながらも、それはゆっくりとなめされて、やわらかでなだらかな毎日を紡いでいったが、錘から外れた目には見えない糸(いと)は少しずつどこかでからまり始めていたらしい。
オカンは喉の手術以来、ちょっとしたことでもすぐに病院へ行くようになった。
雑居ビルの近所にある小さな内科医に毎週のように通い、自分の健康には細心の注意を払っているようだった。
「あの先生は丁寧に診てくれるし、ちゃんと話も聞いてくれる」
オカンが信頼を寄せたその医師は人当たりの良い柔和な人物で、小さな診療所の待合室には毎日、老人たちがまるで集会所であるかのように顔を並べていた。
本棚にはいつの間にかオカンが買い揃えたガンに関する書籍を増えている。

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