双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(227)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
笹塚の家にあったオカンの電話帳をめくって、オトンの番号を探した。事務所の番号を見つけて掛けてみると、コール音が転送されている。どうやら、自宅で電話を受けているようだ。
「オカン、入院したよ」
「そうらしいの。オマエの仕事はどうか?」
「まぁまぁや」
「そうか。まぁ、そっちの方はまだよかうの。小倉辺りなんかは景色が悪いでからどうにもならんぞ」
「胃ガンみたいなんよ」
「おう。それも聞いた。で、どうちか?」
「まだ、今、検査しよる。あんまり良うはないみたいやけど」
「病室は?相部室か?」
「六人部屋」
「個室になったらもういかんぞ」
「どういうことね?」
「個室に移されたら、もう長くは持たんちゅうことよ」
「…………」
この人の、この淡々としたというか客観的な態度はどういうことなのだろう。ボクはひどく憤りを感じた。冷たいというニュアンスではないが、まるで他人事のように言葉を連ねる。
「まぁ、近いうちにそっちへ出て行くわい」
食べ物の匂いのしなくなった笹塚の部屋で目を醒まして代官山の事務所へ行く。原稿を書いて、うち合わせをし、また外に出かけていくつか仕事を済まし、病院へ行く。仕事が遅くなりそうな時はその合間を縫って顔を出すという日が続いた。
そして、代官山に借りていた事務所も更新の時期が迫り、一室をシェアしていたオフィス作の松田美由紀さんと話し合ったところ、お互い今のスペースでは手狭になったということもあり、更新をせずに新たに引っ越すことにした。
オカンが退院して自宅療養になった時のことを考えると、なにかの時に目が届くよう、また仕事場と住居を一緒にした方がいいとボクは考えていた。
しかし、美由記さんは一緒に借りた方が賑やかで楽しいし、協力もし合えるのだから、また同じに借りよう、広い物件を探してオカンの部屋も作って、みんなでオカンの面倒をみればいいじゃないといってくれたのだけど、どうなるのかわからないオカンの病状を考えると、そう甘えるわけにもいかなかった。
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