双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(225)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
九州に帰るなどして一週間程度家を空ける時には、十一階に住むヨシエにぬか床を預(あず)け、毎日混(ま)ぜてくれるようにと頼んでいたものだが、この時は、そうはしなかった。
この上なくきれいに磨き上げられた古い炊事場のステンレスには鍋も布巾も掛けられてはいない。いつもと違って無機質なまで片付けられている。
鉄製の扉の鍵を閉める音は、雑居ビルの吹き抜け部分の上下左右に響いた。
ボクとオカンはエレベーターに乗り、道路を挟んだ場所に借りてある駐車場へと向かう。途中、乗り込んで来る住人に深々と頭を下げるオカン、管理人室から初老の管理人が「この間は、ごちそうさんでした」とオカンに声を掛けた。
甲州街道は車がひしめき合っている。その上を走る首都道路4号線はコンクリートの支柱を揺らしながら雷(かみなり)のような音をたてている。一階のスーパーからは賑やかな音が漏れてくる。若者の団体がボウリング場の入口ではじゃいでいた。
いつもと同じ風景。その中を先月よりはだいぶ痩せたオカンが歩いている。木枯らしがオカンの細くなった髪の毛を揺らしている。
ボクはその横で、入院道具の入ったオカンの合川の安物の鞄を持って見ていた。
その姿は小さくて、頼りなくて、切なかった。
横断歩道を渡る時、ボクは思わずオカンの手を取った。オカンの手を引いて歩くのはこれが始めてだった。
幡ヶ谷から高速道路に入る。
「車の運転は気を付けんといけんよ」
「疲れる時とかは運転せんごとしなさいよ」
「お酒飲む時は、車置いてから行きなさいよ」
繰り返し言うオカンの言葉にボクはただ「うん」と返事をするだけで、車は芝公園出口へと向かった。東京タワーを左側に眺めながら高速を降りるとすぐに病院はある。
甲状腺ガンの手術をした時と同じ、東京タワーの麓(ふもと)にある病院。
「東京タワーのライトの色は、冬と夏で色が違うの知っとった?」
「そうね。気が付かんやったねぇ」
「そしたら、今度、暖かくなった時に見たらええ。夏色になっとるけん」
「そうね。覚えとこう」
赤羽(あかばね)橋の交差点も、病院の外観も、東京タワーの赤も、その日は真冬の曇り空の中で全部が薄氷を纏(まと)ったように、白く、ぼやけて見えた。
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