双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(233)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
「胃の辺りにつかえてから、全然ものが食べられん」
「まぁ、手術せんといかんやろうの」
「もう手術はしとうないがね」
「しとうないっちゅうても、医者が切るっち言うんなら、せにゃあいかんやろ」
「そうや。治ることはなんでもせんといかん」
ボクもそれを勧めた。
「近いうちに先生から話があるけん、聞いてみらんとわからん……」
そして、オトンとオカンはたいして共通の話題もないのか、とりとめのない話をボソボソ続けている。ボクは例によってプリンを食べながら、その様子を黙って見ていた。
その時、ボクはオカンの左手の薬指に指輪を見つけた。たしか、ノブエおばさんに貰ったという金の指輪。昨日までは右手の薬指にしてあったその指輪が、今日、オトンがやって来るとわかっているその日に、左手の薬指に移動していた。
それを見てボクは、オカンがオトンに対して思っている色々なことが、それがわかったような気がした。
「なんか、おいしいもんでも食べて帰りなさい」
オカンの言葉に見送られてボクたちは病院を後にして、えのもとやホセと合流した後、中華料理屋に向かった。
オトンとふたりきりでは無言になりがちだが、オトンもだいぶ慣れてきたえのもとたちがいるとなんとか会話も弾む。この時期から感じ始めたことだが、オトンがボクが思っているほど、無口ではないようだ。まぁそれは自分に興味のある話題ならばの条件付きだが、結構冗談なんかも言ったりするのだなと今更ながら発見していた。
「麻雀もやなぁ、六十過ぎでからやのぉ。負けんようになったんは。どうやったら勝てるかが、やっとわかったごとあるのぉ」
麻雀を覚えたてのホセとえのもとが興味津々に聞き入った。
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