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双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(273)

时间:2012-09-29 11:26:48  来源:可可日语  作者:ookami

    东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。

"やっぱりプロの人は違うねぇ。あたしらはこの色とか選びきらんもんね。きれいな色や"
でも貧乏性のオカンはその口紅をたまにしか使うことができずに、いつも鏡の前にその二本を飾っているだけだった。
たくさんの花が続いて届き、家に入りきらずに外に並んだ。弔電も次々に頂く。もうあまり会うこともなくなっていた学生時代の友人や仕事でお世話になっている方々、先輩や後輩。いつもの顔や意外な顔。
考えていたよりもはるかに大勢の人が弔問に訪れてくれる。この忙しい時期に私事で御苦労かけていることに恐縮しながら頭を垂れていたのだけれど、知人も仕事相手も、その表情をひとつひとつ見ていると、それはボクの関係者ということだけでなく、訪れる人のほとんどが一度はオカンの飯を食べたことがあることに気付いた。
あの人も、この人も。この花をくれた人はあの時に酢豚を食べて、あっちの人はオムライスを食べた。この人の時はお弁当だった。
ボクだけの人間関係で人が集まってくれたような驕った気分になっていたけど、そうじゃない。ここにいる多くの人は、オカンが東京に来て作った、オカンの友達なのだ。
あの社長や、あそこの女の子は食べたことはないけれど、でも、オカンが元気だったらいずれみんなオカンの飯を食べていたと思う。
「オカンにね、一回言うたことがあるんよ」
ブーブおばちゃんが話してくれた。
「マーくんもまだ、仕事がなんとかなりだしたばっかりでからお金もそんなんあるわけやないんやから、御飯もそんなん一杯炊いてから残ったり、おかずも大家族やあるまいしそげつくらんでも、もう少し節制してやったらいいんやないね?ち、オカンに言うたことがあるんよ。そやけどオカンはね、いつ人が来てくれるかもわからんけんちゅうてからね……」

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