双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(242)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
医学といったってわからないことだらけじゃないか。麻酔薬が人の痛みを取り除くということは明らかに誰でも知っていることでも、どうして麻酔薬を打つと人は痛みを感じなくなるのかというメカニズムは末だに解明されてないのだという。いい加減なものだ。
人の命は〇と一で組み立てられているわけじゃない。間違った数字を入力しても正しい回線に繋がることだってあるに違いない。
そんな曖昧な世界の中で医者がなにを言ったところでそれが必ずしも的中するとは限らないのだ。
みんな、なんでも知ってるつもりでも、本当は知らないことがたくさんあるんだよ。
世界の不思議や、色んな奇蹟。ボクたちの知らないことはたくさんあるんだよ。
それなのに担当医はボクを呼び出してこう言った。
「あと、二、三ヶ月だと思っていてください」
抗がん剤治療を中止してから、治療中のような吐き気や痛みは起きなくなったようだが、オカンはすっかりやつれてしまった。結果的に抗がん剤がオカンを衰弱(すいじゃく)させてしまった。
それでも、少し楽になったオカンは笹塚の家から持ってきた本を手に取って静かにそれを目で追っている。
相田みつをの「おかげさん」や柳(やなぎ)美里さんの「命」など数冊が枕元の棚に並んでいた。
長い時間、本をめくっているので疲れるよと、ボクが本を取り上げようとするとオカンは言った。
「この人たちの本を読みよったら、気持ちが楽になる。」
そこにボクの本はなかった。母親に読ませられるような内容の本を今まで書いてきてはないし、読ませたこともないけど、オカンはこっそり読んでいるようだった。
オカンの痛みを癒せるような本をボクは書くことができなかったけれど、そこに並んでいる作者の方々には、その時、心から感謝した。
オカンの気持ちを楽にしてくれて、ありがとう。
笹塚のキッチンの棚に相田みつをの詩が貼ってある、オカンがどこからか買ってきた、台紙付きの印刷された詩。それを食卓から一番よく見える場所に、オカンはいつの間にか貼り付けて、よく眺めていた。
ただいるだけで
あなたがそこに
ただいるだけで
その場の空気が
あかるくなる
あなたがそこに
ただいるだけで
みんなのこころが
やすらぐ
そんな
あなたにわたしも
なりたい
みつを
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