双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(293)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
町外れの森の中。今、ばあちゃんはここに老人介護施設にいる。
老人性痴呆症が進んでいるらしい。
久しぶりに見るばあちゃんの顔。九十になるが身体は元気なようだった。
「ばあちゃん。オレのことわかる?」
ばあちゃんはボクに頭を下げながら言う。
「あぁ、どうも」
オトンが苦笑いをした。ボクだけでなく、もう、オトンのこともわからないらしい。
ばあちゃんを車椅子に座らせて施設内を散歩した。そこにいる老人たちはみんな同じ長さに髪の毛を切り揃えられ、白いポロシャツ、紺色のキュロットを穿かされて、全員が中国の卓球選手のようないでたちだ。
介護士の人に貰ったゼリーをスプーンで口に運ぶと旺盛にそれを食べながら、色んなことを喋っている。
「ばあちゃん、久しぶりやねぇ」
「そうですねぇ」
通じているのかどうか、わからない。
「敦ちゃんは、どこかね?」
「ねぇちゃんは、今日はおらんよ」
意識の中に現在はなく、膨大な数の記憶が時系列なしにシャッフルされて一枚ずつ今に出され、そこにある言葉を喋っているようなだった。
ばあちゃんとオカンの確執についてはなにも知らなかったし、知ったとしてもばあちゃんを責める気もない。悪意は誰の中にもなかっただろうし、ただ、大切なものが違っていただけなのだと思う。
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