双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(300)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
オカンの本棚から見つかった日記は実に記録的なもので、今日は誰が来た、何を頂いた、どこに行った、献立は何だったという淡々とした箇条書きで、そこに感情的な表現は含まれていなかった。
しかし、日記の間に挟み込まれてあった一枚の紙切れに短い文章が残されていた。誰かの言葉の引用なのか、オカンの自身の言葉なのかはわからないが、黄ばんだその紙切れは二ツ折りにされて日記の奥に隠されてあった。
母親というのは無効なものです
我が子がどんなに偉くなるよりも
どんなにお金持ちになるよりも
毎日元気でいてくれる事を
心の底から願います
どんなに高価な贈り物より
我が子の優しいひとことで
十分過ぎるほど幸せになれる
母親というものは
実に本当に無欲なものです
だから母親を泣かすのは
この世の一番いけないことなのです
あれから、桜の花は何度か咲いては散ってゆき、また、東京に春が訪れた。
六本木ヒルズは完成し、汐留は開発され、東京タワーがすっくりと見えるこの赤羽橋の交差点からの風景も人波も、その頃とは少しだけは変わった。
昭和三十三年。六大学野球のスターだった長嶋茂雄が巨人軍に入団。背番号3番の活躍に日本中が沸いた高度成長期。同年十二月、世界最大のテレビ塔として三百三十三メートルの東京タワーは完成し、その鉄塔は大都会·東京のシンボルとなった。
そして現在、デジタル放送への移行に伴い、その対応を十分に果たせないとされている東京タワーは、取り壊しの方向で話が進められているという。
あの日と同じように快晴の恵まれたこの春の日に、ボクは生まれて初めて東京タワーの展望台へと昇った。
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