双语阅读:【日本经典小说连载】东京塔(239)
东京塔这部小说从“我”一点点长大,一直写到“我”目送着母亲因病去世,各种生活细节每每令人感同身受,因而赚取了读者大把的眼泪,也当之无愧地成了哭泣小说的首席代表。
ミッチャンはガンワクチンに関する書籍やパンフレットを集めて調べてくれたようで、有り難いことにこのところずっとオカンのために働いてくれている。仕事も休んでくれているようだった。
ミッチャンが渡してくれたワクチンに関する本には数ヶ所に付箋が貼ってあった。オカンのケースに近いものや購入の方法など、また、ワクチンの効果で命を取り留めた人々の写真入りコメントも多数載っている。
また、副作用のないワクチン治療で痛みのない余生を送ることができるとも書いてあった。
「でも、ワクチンは高いやろう……」
この期に及んでもお金の心配をするようなオカンに、泰さんはいつもオカンと接していた時の明るい雰囲気を崩さず、力強くオカンを励ました。
「なんね、そんな心配しなさんな。それくらい俺が買うてやるから。栄子ババにはまだ死んでもろうたら困るんやけんねぇ。心配せんでよか。死にゃあせんて」
事前にミッチャンから電話があって、今度の話し合いではオカンの治療に対するモチベーションが下らないよう、たくさんみんなで可能性を出し合って励まそうと言われていた。
そして、オカンもこの夫婦の力強い意気込みに対して、後ろ向きな発言はできないと思ったか、弱弱しい声ながらも「うん、そうやね」と繰り返していた。
従姉妹夫婦がオカンのためにこれだけ働いてよくしてくれているにも断らず、ボクは口ではいくらオカンを励ましてもなにもしてやることができず、自分の無力さにいらだっていた。どれだけ治ることを信じていても、心の中で沈んだ汚泥のような不安が身体と心の回転を鈍くする。
せめてなにかできることはと考え、毎日朝方まで飲み続けていた酒を、願掛けでやめることにした。
オカンの抗がん剤治療が始まる。
病院の治療と並行してハスミワクチンも注射してもらうことにした。医師はワクチンに対して、口にこそしないが批判的な態度で苦笑するような表情だったが、本当にもなにが効果的なのかわかるはずもないのだ。なにしろ、どうしてガン細胞ができるのかさえ、誰も知りはしないのだから。
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